夏のランニングは、それまでのランニングとは違い、気温も湿度も高くなるため、脱水症状や熱中症になる危険があります。そのため、夏を走りこなすためには夏ラン用の対策が必要です。走った疲れではなく、暑さによる疲れが先にくることが多く、いつも以上に走れません。そこで、夏のランニングをするための準備・走り方・水分補給・トレーニング方法などについてお伝えします。
暖かくなってきて、過ごしやすい季節になってくると、運動不足解消のために身体を動かしたくなります。継続的に運動を続けることが健康維持のためにはいいですし、ダイエット効果にもなりますが、暑い日は、外に出るのも億劫になりますが、準備・走り方・水分補給・トレーニング方法などについて知ることで、夏ランを上手に活用するといいです。
また、外でのランニングだけではなく、夏はジムやフィットネスなどの室内トレーニングも取り入れることで、暑さ対策にもなりますし、継続して身体を動かすことができるようになります。
それでは、夏ランをするための準備や走り方・水分補給・トレーニング方法についてまとめました。
暑い夏に走る意味があるの?
夏は暑くて走りたいけど暑さにバテてしまうから、どうしようか迷っている人は、夏から走り始めることをおすすめします。寒い冬から始めると、寒さで筋肉や関節など身体が硬くなり、しっかりと柔軟をしたり、温めてからでないと怪我をすることがあります。それに比べて夏は、身体が温まっている状態なので、怪我もしにくく、そのまま走ることができます。
気温の高い環境で走ることは、心拍数が高くなり、グリコーゲンの減少も速くなり、体内の温度上昇も早いため、夏以外に走るときに比べると疲労する時間が早いです。そのため、夏場のランニングは心肺機能の向上を目的に走るといいです。
暑さにバテてしまうと脱水症状や熱中症になりやすくなるため、暑さに慣れるように1週間程は無理せずに運動を行ない、1週間後程度からランニング時間を長くしたり、強度を強めたりするようにすると、暑い夏でもスムーズに走ることができます。
夏に走るランニングコースの選び方
街中や公園、川沿いを走ることが多いと思いますが、夏場に走るなら、公園のラフなコースを走るといいです。舗装されていない道を走るということは、日陰が多く風通しがいいので、暑い夏でも走りやすいです。また、地面がコンクリートではなく、土または腐葉土、芝生なので足への負担も少ないです。気をつけなければいけないのは、石や木の根に足を引っ掛けると転ぶことがあります。
個人的には夏の雨の日に走るのもおすすめです。暑い夏なので、雨の中を走っても気持ちよく走ることができますし、人が少ないので、走りやすいです。雨の日は、音楽プレイヤーやイヤホンなどの精密機器は濡れて故障することがあるので、防水加工されているものを使用するようにしましょう。
夏のランニングを快適にする装備
夏に走るときは、ウェアなどを選ぶときに知っておいたほうが良いことがあります。気温の高い日に走るので、体温の上昇を抑える必要があります。日を避けるための帽子、汗を拭くタオル、汗冷えを防ぐインナーなどの装備を揃えておく必要があります。夏のランニングは「 朝・夜でウェアを変える 」ことも大切ですが、次のような機能を持ったウェアなどを準備しておくと暑い夏に走っても快適になります。
【多機能ギアで体温上昇防止】
日射しを避けるキャップ、汗を拭くリストバンド、水に濡らしてネッククーラーと多機能ヘッドギア。
【汗をひと拭きで拭き取れる】
ナノ繊維を採用しているタオルなら、水で濡らして拭くだけで、汗を素早く吸収してくれるのでベタツキ感がなく快適に拭き取れるナノタオル。
【汗冷えを防ぐインナー】
優れた撥水性で濡れ戻りを防ぐドライレイヤー。汗などの水分が肌から離れるので、汗の残留を最小限に抑えてベタツキ感やニオイを防ぎます。
夏に走るならおすすめの時間帯は?
夏にランニングをするのにおすすめは朝と夜の時間帯です。朝は、早朝5時や6時から走り始めるといいです。日も出ているので明るく、日が高くないので走りやすいです。紫外線量も少ないので疲れにくいです。夜は日が落ちてくる3時から8時頃までがおすすめの時間帯です。とくに夜は暑さが残るので、7時から8時の間に、負荷の高い走りをするといいです。それも夜8時まで、それ以降にすると興奮状態が続き、眠れなくなることがあります。
体力的に余裕があるときには、朝と夜の2回走るといいです。仕事をしているなら通勤前と仕事終わりに走ることで、1日のリズムを作り、リフレッシュしたり、ストレス発散になります。
夏ランに最適な距離・時間は?
運動不足やダイエット目的でランニングを始める人は、汗をかく習慣が無く、汗腺の働きが鈍くなっています。そのため、ランニングを始めると体温調整が上手く行かずに脱水症状を起こしたり、熱中症になったりします。夏ランの目安としては、30分程度で5km程度の距離を走ることから始めるのがいいです。水分補給は必須なのでマイボトルを持っていくのど、途中で水分補給できる場所を見つけておくのも大切です。
走る時間帯は早朝と日没後、直射日光を避けられる時間帯に走るほうが暑さによるストレスがなく、日焼けも最小限に抑えることができます。
脱水症状の見分け方
脱水症状は、体重の3%の水分が失われると脱水状態になっていると判断します。55kgの人だと1.65kg分に当たり、走る前と走ったあとの体重差で確認することができます。ランニングしている人の多くが走ったあと3%以上、体重が減っていますが、特に問題視していません。でも、危険な状態にあることは間違いありません。
脱水症状を見分けるポイントは、
爪を押して白色からピンク色に戻るまでの時間が2秒以上掛かる
口が乾燥している
舌の赤身が強い
舌の表面に亀裂・筋がある
舌全体が白くなっている
皮膚の張りが無い
手足が冷たくなっている
というのが脱水症状の診断方法ですが、走っているときに、水分を飲んでもふらつく、顔が火照っている、手などにしびれを感じるといった症状があるときや、走るペースが落ちてきたときには、脱水が原因だと考えられますので無理して走らずに木陰で休み、水分補給と体温を下げるようにしましょう。
ランニング中の水分補給のタイミングと量
ランニングを楽しく続けるためには水分補給は欠かせません。音楽を聴きながらや、走ることに夢中になるとつい忘れがちになってしまいますが、脱水症状を引き起こしたり、熱中症になるリスクがあるので、走るときは、水分補給のタイミングと量は重要になります。
水分補給をするときに飲むものは真水ではなくスポーツドリンクにします。汗をかくことで体内のナトリウム(塩分)やミネラルが汗と一緒に体外に排出されてしまうため、それらが含まれているスポーツドリンクがおすすめです。飲んだスポーツドリンクが体内に浸透しやすいように浸透圧も調整されているので効率よく水分補給できます。
スポーツドリンクには2種類あり、汗を大量にかく人やハードトレーニングをする人は、走る前・途中・走った後でタイプの違うスポドリを飲むことで疲労回復を早くすることもできますので、「 アイソトニックとハイポトニックの使い分け方 」を参考にしてみてください。
水分補給のタイミングは、夏場であれば15分から20分に1回補給するようにします。冬場は30分に1回で大丈夫です。喉が渇いたと感じたときには軽い脱水状態になっていますので、喉が渇く前に早めに飲むことが大切です。
1回に飲む量としては、100mlを目安に飲むようにします。一気に水分を飲んでも、すべての水分が体内に吸収される訳ではなく、吸収しきれなかった水分は尿として排出されてしまいます。だからこそ、こまめに水分補給することが重要になります。
水分補給のためのおすすめ便利アイテム
ランニングのとき、手にペットボトルを持って走るのは大変。公園でランニングをするときには、芝生などに置いておき、1周すれば水分補給ができるようにしていたりしますが、いつでも水分補給できるように携帯しておくのがベストです。水分補給アイテムを使って、常に水分は携帯しておきましょう。
【ハンドボトル】
1つ持っていれば、とても重宝するアイテムです。手に持つ必要がなく走るのに負担が少なく、いつでも水分補給できます。
【栄養チャージジェル】
水分だけでなく夏のランニングで長時間走るときは栄養チャージができるエネルギー補給ジェルを持っているいいです。
【ロングラン時はポーチタイプ】
休みの日や週末に長い距離を走るときには、2ボトルが入るポーチタイプを準備しておくことで長距離でも十分な水分を確保できます。
夏ランは最大酸素摂取量をアップできる季節
夏場のランニングは脱水症状や熱中症になりやすい季節なので、無理な運動は避けたほうがいいですが、秋や冬に行われるマラソン大会に参加を考えている人は、夏に走りこむことで最大酸素摂取量をアップすることができます。夏場は、心拍数が上がりやすく、バテやすいので、最大心拍数(220-年齢)の8割の強さで8週間走り続けることで最大酸素摂取量が上がります。
体内に取り込む酸素量が増えることで、秋以降のトレーニングにも大きな成果が期待できますし、酸欠状態を防げるため体力の低下も防ぐことができます。夏の時期に走り込みをすることでベストタイムを出せる体づくりができるわけです。
夏の効果的なランニング方法とは?
夏場のランニングは量よりも質を上げたトレーニング方法がおすすめです。というのは、暑さで疲れやすくなっているため長時間のランニングは脱水症状、熱中症になる危険があるためです。そのため、最大心拍数を基準にして、強度を高めていく方法を取り入れるといいです。
ランニング時間は30分で、最大心拍数(220-年齢)の6割程度の負担からはじめて、慣れてきたら7割・8割・9割と負担を大きくしていくこと、少しずつ身体を追い込むように走るといいです。体力が付き、暑さにも慣れてきたら、走る時間を長くするのもいいですが、上り坂・下り坂を利用したりするのも1つの方法です。暑いのでダラダラと走るのではなく、短時間で効果的なランニングをすることをおすすめします。
外で走ることだけではなく、ジムなどの室内でのランニングマシンを使ったトレーニングを取り入れるのもいいです。走る速度を一定に保つことができ、スピードや傾斜を自由に変更できるのでトレーニング効果は高くなりますし、長い時間走ることができます。
ジムやフィットネスで室内トレーニングの効果的な利用法
炎天下の中、ランニングするのはきついから、ジムやフィットネスの室内トレーニングを利用するのも有効な活用法です。屋外でのランニングではできない筋トレができたり、ランニングマシンで速度や心拍数の管理も簡単にできます。
ジムやフィットネスでトレーニングを行なうときは、まず筋トレを行ない、脂肪分解を促すアドレナリンを分泌させます。筋トレ後には成長ホルモンが分泌され、さらに脂肪分解作用が促され、血中に分解された脂肪がたくさんある状態になります。その上で、ランニングマシンを使って走ることで血中の脂肪がエネルギーとして消費されるので、効率的に身体を絞ることができます。
ジムのトレーナーの先生おすすめのランニング方法は、
1分間 最大心拍数の8割で走る
1分間 最大心拍数の6割で走る
2分間 最大心拍数の8割で走る
2分間 最大心拍数の6割で走る
3分間 最大心拍数の8割で走る
3分間 最大心拍数の6割で走る
2分間 最大心拍数の8割で走る
2分間 最大心拍数の6割で走る
1分間 最大心拍数の8割で走る
1分間 最大心拍数の6割で走る
分単位で身体への負担を変えて走ることで、より効果的に脂肪燃焼でき、体力向上につながります。
夏の昼間のランニング時の注意点
ランニングをするときに最適な気温は5℃~15℃の間です。気温が20度を越えてくると、暑さ対策が必要になり、帽子や通気性の良いウェア、汗拭きタオルなどが必要になりますが、気温よりも湿度が高いときはさらに注意が必要です。湿度が高いと汗が噴き出てきますが、気化しないため、肌に汗が残り熱の放出がされません。すると、熱が体内にこもった状態になり熱中症を引き起こします。
こまめな水分補給や紫外線をカットできるウェアなどで、「 夏ランの暑さ対策 」を行なう必要があります。
ランニング時の即効性のある疲労回復方法
夏場はとくに疲労回復効果のある方法を取り入れることで早く疲れを取ることができます。一番に気をつけなければいけないことは、水分補給の方法です。走っているときは大量に汗をかき、水分を放出しますので、走る前に500mlの水分を補給した上で、15分から20分間隔で水分補給を行ない、ランニング後にもきちんと水分を飲むようにします。水分補給はキンキンに冷やしたドリンクではなく、冷蔵庫で冷やした冷たいと感じる程度(約5℃)にしておきます、キンキンに冷やした飲み物を飲むと内臓への負担が大きくなり、疲労につながります。
疲労回復には、抗酸化作用のあるサプリメントやバナナ・プルーン・納豆・卵の黄身・キャベツ・アーモンドなどを食べるといいです。
暑さに対する抵抗力はどのくらい強くなるのか?
夏のランニングで暑さに対する抵抗力を付けることは、少なからずできますが、暑さの感じ方は、人それぞれで異なります。体調や暑さに対する慣れ具合などが影響し、暑さに対する抵抗力・感受性は個人によって違います。自分の体調の変化に気を付けて、暑さの抵抗力に合わせて予防・対策することが大切です。
夏の暑さの中でのランニングは、暑さへの抵抗力を高めることができ、その経験を活かすことはできるはずです。汗による靴擦れや乳首擦れが起こり、ひどいときは出血することもあります。
夏は長時間走れないから体力が落ちるのが嫌だ
夏は暑さで走る時間が限られるし、屋外で走ることは脱水症状や熱中症になるリスクもあります。でも、体力を落としたくないとか、持久力を落としたくないと考える人も多く、夏でも無理して長時間走る人がいます。
夏は外でのランニングではなく、屋内でランニングマシンを使ったり、水泳や筋トレなどで体力維持をするのもおすすめです。走るのとは違う筋肉を使うため、筋力アップになりますし、水泳は体幹強化にもなります。
まとめ
ランニングをはじめて、ランニング仲間ができたり、サークルに入ったりすると周りの刺激を受けてマラソン大会に参加したいという気持ちが出てきます。自分の力を試すのに良い経験になりますので、いろんなマラソン大会に参加するといいと思います。夏場のトレーニングで持久力や心肺機能を強化しておき、自己ベストを更新できるようにしたいですね。
世界で暑さに厳しいマラソン大会として、済洲島国際マラソン、ラグーナ・プーケット国際マラソン、バッドウォーターウルトラマラソン・サハラマラソンなどが知られています。日本国内でもNAHAマラソンや富士登山競走もきついことで知られています。